2001:db8::/32に追加で/20の例示用アドレスの追加を提案するドラフト draft-ietf-v6ops-rfc3849-update がv6ops wg でWGLCとなりました。
大きなネットワークを運用する人が増えたため/20の例示アドレスが必要という話。
前回のIETF118でGeoff Hustonがこちらを発表しました。
発表はこちらから聞けます。
(Meetecho Playout, IETF118-V6OPS-20231107-1200 - YouTube 5:40 あたりから)
簡単な要約。(間違っていたらすいません)
大昔にAPNICとRIPE NCCがドキュメント用としてIPv6アドレスをレジストリに登録していたけど、誰にも言っていなかったから公式なものではなかった。その状態は良くないということでコミュニティ全体で使えるようよう2004年にrfc3849 が書かれた。
この頃はアドレスのアサインは控えめだったので /32 しか例示アドレスに使わなかった。しかし、IPv6のデプロイが進んでみると/32では大きなネットワークは表せないという現実が出てきた。/32では小さすぎる。
アドレスのアロケーションで最も大きいもので/19。とてもめずらしい。なので/20で足りるでしょう。(スライド参照)
20年前に/32で足りると思ったけど今追加することになった。将来また20年後インターネットがどうなってるかわからないけど、必要になることはないと思うし、まー必要になったらまた増やしましょう。今はこれで十分。
発表の後のコメント
Jen: Thank you, Geoff. Didn't think we could just come to ask more. Thank you, Nick.
Antonios Moreiras: 10年前にこの話を出したがよくないとあなたは言った。何が変わった?
Geoff Huston: 私たちは成長する。 2005/2008 ごろはアドレス割り当てが控えめだった。IPv4と同じことが起きてほしくなかったから. でも今は、今までの経験であと数十年は全然大丈夫とわかっている。
Bob Hinden: /20の例示アドレスが必要となる程おおきなIPv6ネットワークがデプロイされているのは素晴らしいことですね。
Warren Kumari: 2001:db8::と似てないアドレスプレフィックスがいいね。似てるととても醜い。
Geoff Huston:たしかに。今はTBDちなってるけどADがいい感じにそうしてくれるといいですね。(Warren KumariさんがOPSのAD)
Lorenzo Colitti: そんなに大きいのはいらないんじゃないか。それより/32が複数個みたいに複数個のプレフィックスが欲しい
Geoff Huston: 大きいのが一つあればいい。この新しいやつを切り取ればいい。大きいのが一つあればインターネットにルーティングされないようにするルールが一行で済む。
メーリングリストの議論。
[v6ops] I-D Action: draft-ietf-v6ops-rfc3849-update-00.txt
2001::/16にない方がいいっていうのはみんな思ってそう。2001::とは違う値から始まった方がいままでの2001:db8::と違いがある。
2000::/3の外は自分はちょっとよくわからない。良し悪しをだれか教えて欲しい。
最初の数字が十進で2ではないものを複数使えた方がわかりやすくはあるだろうとは思いますが、そこら辺は決め事だと思うので、どうなるんですかね。IANAやRIRとの調整でしょうね。
— 小川晃通(あきみち)PhD。YouTubeでIPv6やTCP/IPの解説動画作ってます! (@geekpage) 2023年12月3日
3ffeが既にデファクトっぽくなっているので、その扱いも気になるところです。
サンプル→https://t.co/RkyZ6mPmWT
ドラフトリンク
WGLCのメールアーカイブへのリンク
10月に提出されてwgアドプションされて、今もうWGLC。さすが。こうでなきゃ。(自分も早よ。)
WGAC wgのアドプションコールの時のメーリスの議論。こっちの方が多い。
[v6ops] Call for WG adoption: draft-ghnb-v6ops-rfc3849-update-00.txt
著者は2人でGeoff HustonとNick Buraglio。Nickさんが発案者で、RFC3849の著者だったGeoff Hustonさんを共著者に入れた感じ。(詳しくは他にももっと人いるだろうけど)
Geoff HustonさんはAPNICでお馴染みの人。
Nick Buraglioさんは
ULAをIPv4より優先度を上にするドラフト
Preference for IPv6 ULAs over IPv4 addresses in RFC6724 draft-ietf-6man-rfc6724-update
NPTv6のドラフト
RFC 6296bis IPv6-to-IPv6 Network Prefix Translation draft-bctb-6man-rfc6296-bis
と個人的に興味あるIPv6関連のドラフトの共著者となっている。
また今回のドラフトの関連でラボ環境で使うアドレス空間を拡張するドラフト
Expanding the IPv6 Lab Use Space draft-horley-v6ops-lab もある。
まとめ
今回今までより大きい範囲の例示用アドレスが必要というのは全員合意できることなので、このWGLCの焦点は /20 という数字がよいかということ。
自分は説明を聞いたあとだと、とてもいい気がする。
けど、そんなに短いプレフィックスを本当に必要とすることは自分にはないので正直わからない。
もっとわかりやすい例示アドレス欲しいよねという声はこちら。Geekなぺーじを参考に
というかこのドラフト大事な部分はとても短いです。以下抜き出し。
Expanding the IPv6 Documentation Space
draft-ietf-v6ops-rfc3849-update-01Abstract
The document describes the reservation of an additional IPv6 address
prefix for use in documentation. The reservation of a /20 prefix
allows documented examples to reflect a broader range of realistic
current deployment scenarios.
1. Introduction
[RFC3849] introduced 2001:db8::/32, describing the use of the IPv6
address prefix 2001:DB8::/32 as a reserved prefix for use in
documentation. The rationale for this reservation was to reduce the
likelihood of conflict and confusion when relating documented
examples to deployed systems.As the global deployment of IPv6 expands and evolves, individual IPv6
network deployment scenarios have also increased is size and
diversity, and there is a requirement for documentation to reflect
this increased diversity and scope. The original 2001:DB8::/32
reservation is inadequate to describe many realistic current
deployment scenarios.Without this additional address allocation, documentation address
prefixes are drawn from address blocks already allocated or assigned
to existing organizations or to well known ISPs, or drawn from the
currently unallocated address pool. Such use conflicts with existing
or future allocations or assignments of IPv6 address space. The
reservation of a further /20 IPv6 address prefix from the Global
Unicast Address pool [RFC4291] for documentation purposes avoids such
conflicts.2. Current Assignment and Allocation Data
According to the allocation and assignment data published by the
Regional Internet Registries, [NROStatsReport], in August 2023 some
25.9% of all 62,770 recorded IPv6 unicast allocations and assignments
are larger than a /32 in size. The most common allocation or
assignment size is a /29, used in 24.8% of cases.The four largest assignments made to end users have been /19s, but
these allocations were made before the RIRs' address allocation
policies moved away from the use of a fixed /48 site address prefix
IPv6 address assignment policies, and in the foreseeable future its
unlikely that individual networks require more than a /20. It is
believed that a reservation of a /20 would cover the documentation
needs as they relate the broad range of realistic network
deployments.